大人の夏休みを過ごすなら 。 綾部 ・ 水源の里「古屋」に佇む千年樹の森
今回ご紹介するのは、水源の里・古屋(こや)地区のトレッキング。綾部市と福井県大飯町の県境に位置しており、栃(トチ)の大木が群生する神秘的な場所です。福知山市や綾部市の河川に流れる水源地と樹齢1,000年を超える大トチの木を訪ねました。
水源地から湧き出る命の水
水源地に続く山道の入り口まで、福知山市内から車で約1時間。ほんの少し足を伸ばすだけで、そこには想像を超える、奥深く、神秘的な森が広がっています。
しっとりと湿った山道を進みます。険しい道のりではありませんが、所々が岩場になっていたり、気の根っこの階段を上がったり、気が付くと息が上がってしまいます。その昔、舞鶴から京都へ抜ける「京街道」だったのだそう。かつては明智光秀も通った山道といわれています。
道無き道を進んでいると、川のせせらぎが少しずつ狭まってきました。上の方を見上げると、岩場から湧水が滲み出ている場所が…!水源地に到着です。
ここから湧き出る水は、時間をかけて、遠く離れた下流域へと流れていきます。福知山の市内に流れる由良川もそのひとつ。この水源地から生まれる一滴の水が、身体に流れているといっても過言ではありません。
また、湧水は飲むこともできます。ただし、「モーモーさん、お水いただきます」と言わないとお腹が痛くなるそう。昔からの言い伝えです。
ありがたく湧水をいただき、近くのベンチに腰掛けて休憩。葉っぱが風に揺れる音、湿った空気、ふんわりとした土の香り。森の奏でる音と静かな佇まいを感じられました。
千年樹を誇るトチノキの群生地
水源地から程近い場所に移動。すると、そこには、今回の旅の目玉となる大トチノキが現れます。
主幹の周囲は865cm、ぐぐっと見上げるほどの樹高。神々しい姿に言葉を失います。推定樹齢は1,000年。ふわふわの苔が樹皮を覆っており、現在まで生き続けた年月を物語っていました。
大トチノキをはじめ、周囲には約800本ものトチノキが群生。古屋地区は京都丹波高原国定公園にも指定されています。また、近隣には京都府で最も小さい集落があり、平均年齢91歳のおばあちゃんたちが、トチの実を拾いに来るのだそう。手作りの「トチ餅」や「とちの実おかき」はお土産にもおすすめです。
地元のボランティアの人たちを中心に守られてきた場所。尊い一雫が湧き出る水源地、そして、トチノキの巨木林との出会いに感謝の気持ちがあふれました。
古屋地区を後にして、福知山・大江町にある『鬼ヶそば』で昼食をいただきます。古民家の畳で食べる手打ち蕎麦と囲炉裏で焼いた鮎は絶品!縁側で涼みながら、夏のひと時に浸りました。
都心からすぐ!神秘の森で大人の夏休み
福知山市内から古屋地区にある山道入口まで約1時間。水源地とトチノキ群生地まで往復約1時間半。半日もかからない時間で、神秘的なトレッキングを楽しめます。身近な場所で“大人の夏休み”を体験してみませんか。