LOMスローガン

一以貫之

 ~学び成長する私たちが福知山の未来を創る~

【はじめに】

 1964年、高度経済成長のまっただ中に福知山青年会議所は発足し、以来、57年の長きに渡り「明るい豊かな社会」の実現という変わらぬ理念のもと、変動する時代に求められる運動を展開してまいりました。私たちが今なお運動を続けられていますのは、偏に私たちを応援してくださる市民の皆様と各団体、企業様のお力添えの賜物であり、そして敬愛する先輩諸兄姉が福知山の発展を考え、福知山に住む人々のことを想い、その理念を私たちへ引き継いでいただいたからです。

 現在、新型コロナウイルスが私たちのあらゆる活動に影響を与え、社会は劇的な変化を急速に求められてきました。その変化する状況の中にあり、すでに私たちはその新しい社会を受け入れている時代にきたのではないでしょうか。変化を柔軟に受け入れつつも、変えてはいけないものがあると私は思います。変化に流されてはいけない。変化に甘んじてはいけない。本年度のスローガンには「一以貫之(いついかんし)」を掲げました。創始の精神「青年よ大志を抱け」を「一」として、未来を担う世代へと伝えていくためには、私たち自身がより一層強固なる組織となり、その理念と精神を貫いていかなくてはなりません。今年度、私たちは創始より変わらない福知山青年会議所の理念を貫き、全会員が一致団結して、情熱をもって、まちと私たちが共に学び成長する運動を展開して参ります。

【共感型会員拡大】

全国的にてみても青年会議所における会員拡大が重要な課題となっております。(一社)福知山青年会議所においても、本年度13名からと過去最少人数のスタートとなりました。これ以上、会員数が減少すると「明るい豊かな社会」の実現のために行える活動や運動の幅が縮小されていき、機能的な組織運営も難しくなります。ひいては会そのものが存続の危機に陥ってまいります。昨今、高齢化や人口減少による会員世代の全体数の減少、後継問題やコロナ廃業による企業数の減少などにより、会員候補を探すことすら難しくなってきております。しかし、会員減少の理由を挙げればきりがないこの社会情勢、経済情勢の中にあったとしても、福知山市よりも人口規模の小さな地域において会員拡大に成功している青年会議所が全国にはいくつもあります。どのような状況であったとしても、私たちが「絶対に拡大を成功させる!」という強い想いをもち、拡大の方法を学び実践することで成果を出すことは可能だということです。

また、会員数の減少に伴い在籍年数の若いメンバーが多くを占めるようになり、青年会議所の理念や価値を適切に伝えられる人材が減少しています。そんな中で会員候補世代が少なくなったことで、一人ひとりの候補者の方へどれだけ熱量をもってJCの魅力を発信できるかが重要になってまいりました。私はこの逆境をチャンスと捉えています。人数の少ない今だからこそ、効果的に理念の共有が行え、そして、理念に共感した入会者を募ることで、これまで以上に志を同じくした組織へと変容することができるチャンスであると考えます。より多くの会員を増やし、福知山の未来を育む同志に青年会議所の学びという機会を提供することこそ、「明るい豊かな社会」の実現への一番の近道であると私は信じています。

本年度、私たちは15名の拡大を目指します。福知山青年会議所をさらに価値あるものにするべく、誇りと信念と覚悟を持って共に学ぶ同志の会員拡大に力を尽くします。

【二宮尊徳翁に学ぶ組織財政の健全化】

財政難に苦しむ小田原藩を立て直した二宮尊徳翁は「入る計つて出るを制す」と言っていました。「そもそも、国が衰えたり、乱れたりするのは国の分度が明確になってないからだ」と。分度とは、あらかじめ定めた収入の範囲内で支出をおさめることです。当たり前のことのようですが、この当たり前のことができずに破綻する企業も少なくありません。組織運営も同じことで、安定した健全な財務運営の上に活力あふれる活動、運動が行えるのです。

会員数減少の問題は事業だけではなく、福知山青年会議所の財務上の問題として現れています。会員拡大は急務ではありますが、不確定な会員拡大の成果を当てにした財務運営は健全とは言い難く、二宮尊徳翁の言葉に従い、まずは現在の収支に応じた組織運営を行ってまいります。

本年度は、支出の徹底した見直しを行い、「ムリ、ムダ、ムラをなくす!」ことに真剣に取り組んでまいります。もっと有効な手段はないのか。今までこうだったからと思考停止をしていないか。本当にその支出が必要なのか。会員一人ひとりの財産である会費を如何に効率よく運用するかについて、徹底的に検証していきます。同時に福知山JCシニアクラブ会員の皆様や新入会員が気持ちよく活動に参加していただけるように、不要なものは是正し、必要な資源はしっかりと有効活用をしてまいります。本年度に地固めを行うことで、今後10年の(一社)福知山青年会議所の活動がより発展的で効果的に行えるよう、確固たる思いで尽力して参ります。

【熱意あふれるひとづくり】

 「世界のGDPシェアの推移」(OECD,IMF)によると、1950年の日本のGDPは世界のGDPに対して3%のシェアでした。その後、1988年では16%にまで急上昇しております。戦後の焼け野原の日本において、昭和世代の先輩諸兄姉が築きあげた40年の並々ならぬ努力の成果が、日本を世界第2位の経済大国まで押し上げたということです。しかし、残念なことに2019年には6%まで大幅に下がっています。昭和の時代に築き上げた地位を30年かけて後退させてしまっている状況です。他方、米国ギャラップ社が実施した「熱意あふれる社員の割合(2018年)」の調査によると日本企業の「熱意あふれる社員」の割合はたった6%であり、「やる気のない社員」は70%、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%で、世界139ヶ国中132位と最下位レベルとういう結果でありました。この二つのデータから読み解けることは、日本は経済的に裕福になった中で、国民の価値観が変化していき、一生懸命に働くことの価値が下がってしまったのではないだろうかということです。たとえば福知山市で考えてみるならば、労働人口約4万人の94%、つまり3万7600人が熱意なく働いているという計算になり、あまりにもったいないと思えてしまうのです。この現状は、課題として挙げるには大きすぎるかもしれません。しかし、大きすぎるからこそ解決の方向に進めば「明るい豊かな福知山の実現」に近づくと私は確信しています。

この根本に流れる問題が何かと考えれば、私たち一人ひとりが明確な夢や志、ビジョンといった人生の「一」を見いだせていないからではないでしょうか。人は本来、成長発展にこそ喜びを感じ、自らが成長して人の役に立つことに生きがいを感じます。自分の仕事が社会の役に立っている、人の幸せを創っていると実感することで喜びを感じられます。私たち働き世代の一人ひとりが何を以て社会に貢献するのか、自分はどう生きていくのかという自らの「一」を定め、働くことへの活力を見出すことこそが、熱意あふれるひとづくりにつながるのです。青年会議所の活動、運動には、その為の学びの機会が多分にあります。

 本年度は、私たちは青年経済人の学び舎として、一番に力をいれるべき「学び」に集中します。JCの「学び」の機会を存分に活用し、働くことへの活力を見いだせる学びの機会を創出し、親世代が学ぶ姿を見せることが最たる青少年教育であると信じ、福知山市民のみなさまと共に学ぶ活動を展開してまいります。「教育のまち福知山」に生きる私たちは、人生の「一」が明確になり、生涯学びつづけることを大切にできる人財を一人でも多く増やすことで、「明るい豊かな社会」の実現へとつなげて参ります。

 

【結びに】

私は入会しての5年間で、この青年会議所という場所でしか体験することができなかった活動、出会えなかった人たちがいます。年齢や職業も関係なく、真剣に向き合い、悩み、葛藤しながら力を尽くす同世代の仲間たちができたことが私の財産です。この仲間たちと共に行った活動を通じて、新たな福知山の魅力を知ることができました。福知山で暮らし、福知山で仕事をしていることを誇りに思えるようになりました。このまちをより良くして次の世代へつないでいきたいと想っています。志を同じくする仲間と一緒なら、この仲間がより強い絆で結ばれ共に成長することが出来たなら、「明るい豊かな社会」を実現するための原動力になれると確信しています。

「青年よ大志を抱け」という創始の精神と「明るい豊かな社会」の実現という理念が、私は大好きです。コロナ禍で先の見えない時代になお、力強く歩みを進めるための道しるべが、この精神と理念です。そして、それを体現するのが私たち青年世代の「英知と勇気と情熱」です。(一社)福知山青年会議所が学び成長する組織として存在価値を高め、まちから今以上に必要とされる組織となることで、私たちを育んでくれたまちへ少しでも恩返しになる様に全力で貫いていて参ります。一年間どうぞよろしくお願い致します。

基 本 運 営 方 針

  • 会員拡大目標の達成
  • 財務の健全化
  • 社会人としての資質向上に関する研修の実施
  • 人としての自己研鑽に関する研修の実施
  • 世代間を超えた「学べる」事業の実施
  • 徹底して情報共有された組織運営の実施
  • (公社)日本青年会議所、近畿地区協議会、京都ブロック協議会の事業や大会への積極的な参加